社会福祉法人の会計情報

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社会福祉法人の会計その他の情報です

関連当事者との取引の内容に関する注記

開示関係

 あまり見かけないのですが、関連当事者との取引の内容を注記している事例があったので紹介します。(特定できない程度に加工してあります) 

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1.種類
 「役員及び近親者」としていますが、これは会計基準第19条2項1号の個人の場合の記載だと思います。個人と法人では属性が異なりますので、「役員及びその近親者が議決権の過半数を有している法人」(会計基準19条2項2号)としたほうが良いと思います。

2.事業上の関係
 「当法人理事長の妻」とありますが、これだけでは事業上どのような関係なのかわからないのではないでしょうか。損害保険の代理店のようですので、それがわかるように記載したほうが良いと思います。

3.取引の内容
 「○○○保険」と保険会社の名前を記載していますが、「損害保険取引」など、ここは取引の内容を記載します。

4.科目
 「保険料」としていますが、期末残高に対する科目を記載しますので、通常は貸借対照表科目になります。(運用上の取扱い21(7))

5.取引条件および取引条件の決定方針
 事実を書くことになるのですが、このままだと随意契約で相手の言うまま契約して、無駄な資金が流出しているかのような疑念を抱かせます。そのような取引は認められませんので、そうではなく、一般的な取引価格であるということを示したほうが良いと思います。見積合わせを行っている場合なども記載した方が良いと思います。

6.その他
 関連当事者の事業の内容が「福祉用具販売貸与等」ですので、もし、損害保険取引だけではなく、福祉用具の購入や賃借等を行っている場合は取引の種類別の取引金額の記載が必要になります。(運用上の取扱い21(5))

 

 

自己点検シート(東京都福祉保健局)

制度改革情報

 東京都福祉保健局のホームページに「自己点検シート」が掲載されています。

 自己点検シート 東京都福祉保健局

 以下は引用です。

自己点検シートについて

 都では社会福祉法人制度改革の施行に伴い、社会福祉法人に対する財務規律の確保のため、監事監査等を進める際に、監事が自ら法人の課題を早期に発見し、対応できるようにするためのチェック表として、「自己点検シート」を作成し、平成29年5月2日付29福保指指第155号「自己点検シートの配布について」により周知いたしました。
この「自己点検シート」の所轄庁への提出義務等はありませんが、監事監査等に是非ご活用ください。

  東京都の社会福祉法人の監事の皆様は是非活用してください。

 ところで、この自己点検シートの96番に以下のような項目があります。

給与台帳に記載されている職員が実在し、出勤簿の出勤状況、源泉徴収及び社会保険納付状況も合わせて確認したか。

  監事の皆様はこの様なところまでチェックしていますでしょうか。

 監事監査と称して5月か6月に1日だけ法人本部に行って計算書類の説明だけ聞いて終わりとか、その終了をもって「今年も監事監査が無事終了しました。」なんて言っている法人はありませんか。

 監事監査ってそんなもんじゃないと思います。年間を通してきちっと見ていかないと監事の責任なんて果たせないと私は思います。

 やってもいないのに監査報告書に「会計帳簿又はこれに関する資料の調査を行い、当該会計年度に係る計算関係書類(計算書類及びその附属明細書)及び財産目録について検討いたしました。」なんて書いたら監査報告書の虚偽記載になってしまいます。

  新社会福祉法では監事を含めた役員等の責任や罰則が明確化されましたので注意が必要です。