社会福祉法人の会計情報

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社会福祉法人の会計情報

社会福祉法人の会計その他の情報です

社会福祉法人制度改革の施行に向けた留意事項について (経営組織の見直しについて)

厚生労働省から以下の文書が出ていますので掲載します。

 

事務連絡
平成28年6月20日

都道府県

各 指定都市 社会福祉法人担当課(室) 御中

中核市

 

厚生労働省社会・援護局福祉基盤課

 

社会福祉法人制度改革の施行に向けた留意事項について
(経営組織の見直しについて)

 

 

 社会福祉法人制度改革において、社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28 年法律第21 号)により、経営組織の見直し等が行われるところです。

 今般、経営組織の見直しに関する留意事項について、別添のとおり、まとめましたので、お示しいたします。

 なお、本事務連絡については、現時点の考え方を示したものであり、今後、変更があり得ることを申し添えます。

 また、都道府県におかれましては、貴管内の市(指定都市及び中核市を除き、特別区を含む。)に対して周知いただきますようお願いいたします。

 

 

社会福祉法人制度改革の施行に向けた留意事項について
(経営組織の見直しについて)

(目次)

第1章 社会福祉法人の機関設計

 今日、措置から契約への移行など福祉サービスの供給のあり方が変化する中、地域福祉の中核的な担い手である社会福祉法人においては、効率的・効果的な経営を実践して、利用者の様々な福祉ニーズに対応していくことが求められる。特に、福祉ニーズが多様化・複雑化しており、高い公益性を備えた社会福祉法人の役割は重要なものとなっている。

 改正前の社会福祉法に規定されている社会福祉法人の経営組織については、社会福祉法人制度発足当初以来のものであり、今日の公益法人等の運営に求められるガバナンスを十分に果たせる仕組みとはなっていない。

 他方、平成18 年の公益法人制度改革においては、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人について新たな機関設計が導入され、役員等の権限・義務・責任の明確化、評議員会による理事等を牽制監督する仕組みの導入、会計管理の専門機関である会計監査人制度の導入といったガバナンスを強化する措置が講じられている。

 このため、社会福祉法人についても、高い公益性・非営利性を担保するため、公益法人制度改革を参考に、法人が自律的に適正な運営を確保するためのガバナンスの強化を図ることとした。

 

 

第2章 評議員及び評議員

 社会福祉法人評議員会については、これまで、措置事業、保育所等を経営する事業、介護保険事業のみを行う法人を除き、その設置を求めていたが、法律上、評議員会の設置は任意であり、また、諮問機関として位置付けられているため、理事等の執行機関に対する牽制機能が十分働かないという課題があった。このため、公益法人制度改革を参考に、評議員会に役員の選任・解任や定款変更等法人の基本的事項について決議する権限を与え、これを通じて理事等を牽制監督する役割を担わせることとした。

 こうした評議員評議員会の重要な役割を踏まえ、社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28 年法律第21 号)による改正後の社会福祉法(昭和26 年法律第45 号。以下「法」という。)は、評議員の選任・解任、資格、兼職禁止等に関する規定を置いている。

 

(1)評議員の選任及び解任

評議員の選任及び解任方法について

 評議員の選任及び解任の方法については、法第31 条第1 項第5 号において、法人が定款で定めることとしているが、同条第5 項において理事又は理事会が評議員を選任・解任する旨の定めは無効とされている。

 定款で定める方法としては、法人関係者でない中立的な立場にある外部の者が参加する機関を設置し、この機関の決定に従って行う方法等が考えられる。

 

イ 最初の評議員の選任について

 評議員については、平成29 年4 月1 日までに、あらかじめ、法第39 条の規定の例により選任しておかなければならないとされている(改正法附則第9 条第1項)。このため、社会福祉法人においては、同日までに、上記アの趣旨を踏まえた評議員の選任方法を記載した定款の変更を行った上で、当該変更後の定款に基づき評議員を選任しておくことが必要である。なお、あらかじめ選任した評議員の任期は平成29 年4 月1 日から開始し(同条第2 項)、平成29 年3 月31 日において評議員である者の任期は、同日において満了することとなる(同条第3 項)。

 

(2)評議員の資格等

社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者

 社会福祉法人評議員については、法第39 条において「社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者」のうちから選任することとしており、以下(イからエ)の要件に適合し、法人において「社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者」として適正な手続により選任されている限り、制限を受けるものではない。

 

評議員の欠格事由

 評議員となることができない者は、次に掲げる者である(法第40 条第1 項)。

 ① 法人(同項第1 号)

 ② 成年被後見人又は被保佐人(同項第2 号)

 ③ 生活保護法、児童福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法又は法の規定に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの

者(同項第3 号)

 ④ ③に該当する者を除くほか、禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者(同項第4 号)

 ⑤ 所轄庁の解散命令により解散を命ぜられた社会福祉法人の解散当時の役員(同項第5 号)

 

評議員の兼職禁止

評議員は、理事及び監事の選任・解任を通じて、理事等の業務執行を監督する立場にあるため、自らが評議員を務める法人の理事、監事又は職員を兼ねることはできない(法第40 条第2 項)。

 

評議員の特殊関係者

評議員には、各評議員又は各役員の配偶者又は三親等以内の親族が含まれてはならないことに加え、各評議員又は各役員と特殊の関係がある者も含まれてはならないこととしている(法第40 条第4 項及び第5 項)。

・ 特殊の関係がある者は、厚生労働省令で定めることとしているが、以下の内容を定める予定である。

 ① 当該評議員又は役員と事実上婚姻関係と同様の事情にある者

 ② 当該評議員又は役員に雇用されている者

 ③ ①、②に掲げる者以外の者であって、当該評議員又は役員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの

 ④ ②、③に掲げる者の配偶者

 ⑤ ①から③に掲げる者の三親等以内の親族であってこれらの者と生計を一にするもの

 ⑥ 当該評議員が役員(※)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員(※)又は職員(これらの役員(当該評議員を含む。)又は職員が当該社会福祉法人評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)

 ※ 業務を執行する社員を含む。

 ⑦ 当該社会福祉法人の役員が役員(※)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員(※)又は職員(これらの役員又は職員が当該社会福祉法人評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)

 ※ 業務を執行する社員を含む。

 ⑧ 支配している他の社会福祉法人の役員又は職員

 ※ 支配している他の社会福祉法人:当該社会福祉法人の役員又は評議員で、評議員の総数の過半数を占めている他の社会福祉法人

 ⑨ 次に掲げる団体においてその職員(国会議員及び地方公共団体の議会の議員を除く。)である、評議員又は役員(これらの評議員又は役員が当該社会福祉法人評議員総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)

・ 国の機関、地方公共団体独立行政法人国立大学法人又は大学共同利用機関法人地方独立行政法人特殊法人又は認可法人

 

評議員の員数

評議員の数は、理事の員数を超える数としている(法第40 条第3 項)。ただし、一定の事業規模を超えない法人については、平成29 年4 月1 日から3 年間、4 人以上としている(改正法附則第10 条)。

・ この一定の事業規模は、政令で定めることとしている。(法人における準備期間を考慮し、予め方向性について別途お知らせすることとする。)

 

評議員の確保の支援について

・ 平成29 年4 月1 日から、全ての社会福祉法人に対して評議員会の設置が義務付けられ(法第36 条)、各法人は、同日までに、あらかじめ、評議員を選任しておかなければならないこととなる(改正法附則第9 条第1 項)。

・ この場合、評議員は、小規模な法人などでは、評議員候補となる人材に関する情報が不足する、あるいは、地域における人材が限られるなどの要因によりその確保が困難となることも想定される。

・ このため、社会福祉法人が所在する地域の地方自治体や社会福祉協議会が、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者に関する情報を収集し、評議員の確保が困難な法人の求めに応じて、人材の情報を提供する等の支援を行うことが求められる。

地方自治体が行うべき支援及び社会福祉協議会に期待される取組は以下のとおりである。

なお、法人において、評議員の確保に取り組んだにもかかわらず、上記の事情により、平成29 年3 月31 日までの選任に間に合わなかった場合においては、所轄庁は、以下の取組の一環として評議員の確保のための支援を行うとともに、期限についても柔軟に対応することとされたい。

 

(ア) 地方自治体が行うべき支援

・ 所轄庁は、社会福祉法人を指導監督し、適正な運営を確保することに責任を有する立場にあることから、法人からの評議員の確保に関する相談に応じて必要な支援を行うことが求められる。なお、所轄庁は、法人を指導監督する立場にあることから、支援に当たって法人の自主性・自律性を阻害することがないよう配慮することが必要である。

・ また、所轄庁及び所轄庁に該当しない都道府県においては、(イ)に定める社会福祉協議会が行う取組を支援することが求められる。具体的には、地域の各種団体に対し、広く人材の情報の提供に係る協力要請を行うとともに、得られた情報を社会福祉協議会へ提供することが考えられる。

 

(イ) 社会福祉協議会に期待される取組

○ 市区町村社会福祉協議会及び都道府県社会福祉協議会は、法第109 条第1項第4 号又は法第110 条第1 項第1 号に基づき、評議員の確保に関し、以下の社会福祉法人に対する支援を行うことが求められる。

 Ⅰ 市区町村社会福祉協議会については、以下のような取組を行うことが考えられる。

 ① 担当者(部署)を決定し、社会福祉法人から要請があった場合には、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する人材に関する情報を提供する。

 ② 地域の状況等に応じて、以下の取組を積極的に行う。

・ あらかじめ社会福祉法人のニーズ等を把握するため、社会福祉法人に対する説明会や調査等を行う。なお、施設連絡会等を設置している場合は、当該連絡会の取組として実施する。

評議員候補者となり得る地域住民への説明会の開催等により評議員会制度に係る理解の促進を図る。

 Ⅱ 都道府県・指定都市社会福祉協議会については、以下のような取組を行うことが考えられる。

 ① 担当者(部署)を決定し、管内の市区町村社会福祉協議会に対する支援を実施。特に、専門職団体等と連携し、必要な情報を市区町村社会福祉協議会に対し、情報提供。

 ② 社会福祉法人からの要請にも対応できるよう相談窓口を設置。

 ③ 福祉関係団体等を通じた社会福祉施設関係者への周知。 等

 

(3)評議員の任期

評議員の任期は、原則として、選任後4 年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までである(法第41 条第1 項)。また、定款で「4 年」を「6 年」まで伸長することができる(同項ただし書)。

・ ただし、定款によって、任期の満了前に退任した評議員の補欠として選任された評議員の任期を退任した評議員の任期の満了する時までとすることは可能である。

・ なお、施行日時点(平成29 年4 月1 日)における現職の評議員の任期は、平成29 年3 月31 日において満了することとなる(改正法附則第9 条第3 項)((1)イ参照)。

 

(4)評議員に欠員が生じた場合の措置

・ 平成29 年4 月1 日以降、評議員に欠員が生じた場合には、任期の満了又は辞任により退任した評議員は、新たに選任された評議員が就任するまで、なお、評議員としての権利義務を有する(法第42 条第1 項)。

・ また、評議員に欠員が生じ、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、所轄庁は利害関係人の請求により又は職権で、一時評議員の職務を行うべき者を選任することができる(法第42 条第2項)。

 

(5)評議員会の権限

評議員会は、これまでの諮問機関とは異なり、法人運営の基本ルール・体制を決定するとともに、役員の選任・解任等を通じ、事後的に法人運営を監督する機関として位置付けられることとなる。

・ 従来の評議員会に対し諮問されていた業務執行に関する事項についての意思決定は理事会で行うこととなり、評議員会の決議事項は法に規定する事項及び定款で定めた事項に限定される(法第45 条の8 第2 項)。

・ なお、法律において評議員会の決議を必要としている事項について、理事、理事会その他の評議員会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、効力を有しない(同条第3 項)。

 

(6)評議員会の運営

・ 改正法により、定款変更や合併・解散など法人運営の基本ルールや、決算の承認など事後的な法人運営の確認は評議員会が最終的な決定を行うこととなるが、その評議員会の招集やこれらの事項に係る議案の提案等は、理事、理事会が行うことが原則である。具体的な手続は以下のとおり。

 

評議員会の招集

(ア) 評議員会の招集権者

 評議員会の招集権限は、原則として理事にある(法第45 条の9 第3 項)。

 なお、評議員は、理事に対し、評議員会の目的である事項(以下「議題」という。)及び招集の理由を示して、評議員会の招集を請求することができる(法第45 条の9 第4 項)。この請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合等には、評議員自らが所轄庁の許可を得て評議員会を招集することができる(法第45 条の9 第5 項)(P8 エ③参照)。

 

(イ) 招集事項の決定

評議員会を招集するには、まず、①評議員会の日時及び場所、②議題、③議案といった招集事項を理事会の決議により定めることが必要である(法第45条の9 第10 項で準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18 年法律第48 号。以下「一般法人法」という。)第181 条。議案については厚生労働省令で定める予定。)。

 

(ウ) 招集通知

 次に、招集事項を記載した招集通知を評議員会の日の一週間前(定款による短縮が可能)までに、各評議員に対して書面で発出することが必要である(法第45 条の9 第10 項で準用する一般法人法第182 条第1 項)。通知は、電磁的方法によっても可能であるが、その場合には評議員の承諾が必要である(法第45 条の9 第10 項で準用する一般法人法第182 条第2 項)。

 なお、評議員の全員の同意があれば、招集の手続を省略して、評議員会を開催することができる(法第45 条の9 第10 項において準用する一般法人法第183条)。

評議員会の決議

評議員会は、あらかじめ招集通知で定められた議題以外の事項を決議することはできない(法第45 条の9 第9 項)。

・ また、議決権の行使については、書面又は電磁的方法による議決権の行使や代理人又は持ち回りによる議決権の行使は認められない。これは、評議員には、理事と同様、法人との委任契約に基づき、善良な管理者の注意をもってその職務を遂行する義務が課せられており(法第38 条、民法第644 条)、このような評議員によって構成される評議員会が執行機関に対する牽制・監督を行う機関として十分にその機能を果たすためには、相互に十分な討議を行うことによって決議を行うことが必要であるからである。

・ ただし、出席者が一堂に会するのと同等の相互に十分な議論を行うことができる方法であれば、テレビ会議や電話会議の方法による開催は認められる。なお、この議決権の行使に関する規律については、理事会と同様である(P17 第4章(2)イ参照)。

 

評議員会の決議の省略

・ 理事が議題について提案をした場合において、当該提案につき評議員(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなされる(法第45 条の9 第10 項で準用する一般法人法第194 条第1 項)。

・ この場合、同意の意思表示をした書面又は電磁的記録を、評議員会の決議があったものとみなされた日から十年間、主たる事務所に備え置かなければならない(法第45 条の9 第10 項で準用する一般法人法第194 条第2 項)。

・ なお、議題の全てについての提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時評議員会が終結したものとみなされる(法第45 条の9 第10 項で準用する一般法人法第194 条第4 項)。

 

評議員の権限

 評議員個々についても、以下の権限が付与されている。

 

① 議題の提案権

評議員は、理事に対して一定の事項を議題とすることを請求することができる(法第45 条の8 第4 項で準用する一般法人法第184 条)。

・ ただし、この請求は、評議員会の日の四週間前(定款による短縮が可能)までにしなければならない。

・ これは、評議員会は、招集通知に掲げられた議題以外の事項については、決議することができないため(法第45 条の8 第2 項)、評議員会の日の一週間前までに発出する招集通知に議題を記載できるようにする必要があるからである。

 

 ② 議案の提案権

評議員は、評議員会の場において、議題の範囲内で議案を提案することができる(法第45 条の8 第4 項で準用する一般法人法第185 条)。

・ この場合、法第45 条の8 第4 項において準用する一般法人法第186 条において、「評議員は、理事に対し、評議員会の日の四週間前までに、議案の要領を招集通知に記載して評議員に通知することを請求することができる」と規定されていることからも、評議員が議案を提案する場合は、評議員会における議論を有益なものとするため、事前に他の評議員や執行機関である理事において十分な検討時間を確保することが法の趣旨である。

 

 ③ 評議員会招集権

評議員会の招集権限は、原則として理事にあるが(法第45 条の9 第3 項)、評議員は、理事に対し、議題及び招集の理由を示して、評議員会の招集を請求することができる(法第45 条の9 第4 項)。

・ また、評議員会の招集の請求後、以下のいずれかに該当する場合には、所轄庁の許可を得て、評議員会を招集することができる(法第45 条の9 第5 項)。

 ⅰ 請求の後遅滞なく招集の手続が行われない場合

 ⅱ 前項の規定による請求があった日から6 週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内の日を評議員会の日とする評議員会の招集の通知が発せられない場合

・ この場合、所轄庁は、評議員の申立てが権限濫用と認められる場合には、評議員会の招集を許可しないことができる。

 

 

第3章 役員

第1節 理事

(1)理事の選任及び解任

社会福祉法人制度においては、改正法により、評議員会が必置の議決機関として位置付けられ、理事の選任・解任の決議は評議員会で行うこととなった(法第45条の4 第1 項)。理事等の選任・解任の手続など評議員会の運営の詳細は第2章(6)参照。

・ なお、解任については、次のいずれかに該当する場合に限り、評議員会の決議によって、解任することができることとしている(法第45 条の4 第1 項)。

 ① 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき

 ② 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき

 

(2)理事の資格等

ア 理事の欠格事由

・ 理事の欠格事由は、評議員と同様である(法第44 条第1 項において準用する

法第40 条第1 項)。

 

イ 理事の資格要件

・ 理事のうちには、次に掲げる者が含まれなければならない(法第44 条第4 項)。

 ① 社会福祉事業の経営に関する識見を有する者(同項第1 号)

 ② 当該社会福祉法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者(同項第2 号)

 ③ 当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあっては、当該施設の管理者(同項第3 号)

 

ウ 理事の特殊関係者

・ 理事には、理事本人を含め、その配偶者及び三親等以内の親族その他各理事と特殊の関係のある者(以下このウにおいて「理事の親族等特殊関係者」という。)が理事の総数の三分の一を超えて含まれてはならないこととしている(法第44条第6 項)。ただし、理事の親族等特殊関係者の上限は3 人である。

・ 特殊の関係がある者は、厚生労働省令で定めることとしているが、以下の内容を定める予定である。

 ① 当該理事と事実上婚姻関係と同様の事情にある者

 ② 当該理事に雇用されている者

 ③ ①、②に掲げる者以外の者であって、当該理事から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの

 ④ ②、③に掲げる者の配偶者

 ⑤ ①から③に掲げる者の三親等以内の親族であってこれらの者と生計を一にするもの

 ⑥ 当該理事が役員(※)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員又は職員(これらの役員又は職員が当該社会福祉法人の理事総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)

 ※ 業務を執行する社員を含む。

 ⑦ 次に掲げる同一の団体においてその職員(国会議員及び地方公共団体の議会の議員を除く。)である理事(これらの理事が当該社会福祉法人の理事総数の

三分の一を超えて含まれる場合に限る。)

・ 国の機関、地方公共団体独立行政法人国立大学法人又は大学共同利用機関法人地方独立行政法人特殊法人又は認可法人

 

(3)理事の任期

・ 理事の任期は、選任後2年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までである(法第45 条)。ただし、定款によって、その任期を短縮することも可能である。

・ また、理事を再任することは差し支えなく、期間的な制限はない。

 

(4)理事に欠員が生じた場合の措置

・ 平成29 年4 月1 日以降、理事に欠員が生じた場合には、任期の満了又は辞任により退任した理事は、新たに選任された理事が就任するまで、なお、理事としての権利義務を有する(法第45 条の6 第1 項)。

・ また、理事に欠員が生じ、事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、所轄庁は利害関係人の請求により又は職権で、一時理事の職務を行うべき者を選任することができる(法第45 条の6 第1 項)。

 

(5)理事の権限等

・ 以下の①から③に掲げる理事は、それぞれ以下に定める職務及び権限等を有する。

 

 ① 理事長の職務及び権限等

・ 理事長は、理事会の決定に基づき(法第45 条の13 第2 項第1 号)、法人の内部的・対外的な業務執行権限を有する(法第45 条の16 第2 項第1 号)。

・ 具体的には、理事会で決定した事項を執行するほか、法第45 条の13 第4 項に掲げる事項以外の理事会から委譲された範囲内で自ら意思決定をし、執行する。

・ そして、対外的な業務執行をするため、法人の代表権を有する(法第45 条の17 第1 項)。

・ なお、業務執行とは、契約にサインすることや、事業費支出の決済など、理事長等の法人の機関が行う行為が法人の行為と認められるような行為をいい、代表するとは、法人の機関が法人の名前で第三者とした行為が法人の行為とみなされることをいう。

・ 理事長は、3 か月に1 回以上(定款で、毎会計年度に4 ヶ月を超える間隔で2回以上とすることが可能)、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない(法第46 条の16 第3 項)。

 これは、理事会による理事長の職務の執行の監督の実効性を確保するためである。

 したがって、この報告は現実に開催された理事会において行わなければならず、第4章(2)ウ(法第46 条の16 第2 項)による報告を省略することはできない(法第45 項の14 第9 項において準用する一般法人法第98 条)

 

 ② 業務執行理事の職務及び権限等

・ 理事長以外にも社会福祉法人の業務を執行する理事(以下「業務執行理事」という。)を理事会で選定することができる(法第45 条の16 第2 項)。

・ 業務執行理事は、理事長と違い代表権はないため、対外的な業務を執行する権限はない(法第45 条の17 第2 項)。

・ 業務執行理事は、理事長と同様、3 か月に1 回以上(定款で、毎会計年度に4ヶ月を超える間隔で2 回以上とすることが可能)、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない(法第46 条の16 第3 項)。また、この報告は現実に開催された理事会において行わなければならず、報告を省略することはできない。

 

 ③ ①及び②以外の理事の職務及び権限等

・ 理事長及び業務執行理事以外の理事は、理事会における議決権の行使等を通じ、法人の業務執行の意思決定に参画するとともに(法第45 条の13 第2 項第1号)、理事長や他の理事の職務の執行を監督(同項第2 号及び第3 号)する役割を担うこととなる。

 

(6)理事の義務等

・ 理事には、善管注意義務、忠実義務のほか、法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実があることを発見したときの監事への報告義務が課されている(法第38条、法第45 条の16 第1 項並びに法第45 条の16 第4 項において準用する一般法人法第84 条及び第85 条)。

・ また、特別背任罪(法第130 条の2)及び贈収賄罪(法第130 条の3)等の罰則が設けられている。

 

第2節 監事

(1)監事の選任及び解任

・ 監事の選任及び解任は、理事と同様、評議員会の決議による(法第45 条の4 第1 項)。

・ 理事による、監事の選任に関する議案の評議員会への提出に対する監事の同意又は請求については、監事の過半数をもって決定する(法第43 条第3 項において準用する一般法人法第72 条)。

 

(2)監事の資格等

ア 監事の兼職禁止

・ 監事は、当該社会福祉法人の理事又は職員を兼ねることができない(法第44条第2 項)。

 

イ 監事の資格要件

・ 監事には、次に掲げる者が含まれなければならない(法第44 条第5 項)。

 ① 社会福祉事業について識見を有する(同項第1 号)

 ② 財務管理について識見を有する者(同項第2 号)

 

ウ 監事の特殊関係者

・ 監事には、各役員の配偶者又は三親等以内の親族が含まれてはならないことに加え、各役員と特殊の関係がある者も含まれてはならないこととしている(法第44 条第7 項)。

・ 特殊の関係がある者は、厚生労働省令で定めることとしているが、以下の内容を定める予定である。

 ① 当該役員と事実上婚姻関係と同様の事情にある者

 ② 当該役員に雇用されている者

 ③ ①、②に掲げる者以外の者であって、当該役員から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの

 ④ ②、③に掲げる者の配偶者

 ⑤ ①から③に掲げる者の三親等以内の親族であってこれらの者と生計を一にするもの

 ⑥ 当該理事が役員(※)となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員(※)又は職員(これらの役員又は職員が当該社会福祉法人の監事総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)

 ※ 業務を執行する社員を含む。

 ⑦ 当該監事が役員となっている他の同一の団体(社会福祉法人を除く。)の役員又は職員(これらの役員(当該監事を含む。)又は職員が当該社会福祉法人の監事総数の三分の一を超えて含まれる場合に限る。)

 ⑧ 支配している他の社会福祉法人の理事又は職員

 ⑨ 次に掲げる団体においてその職員(国会議員及び地方公共団体の議会の議員を除く。)である役員(これらの役員が当該社会福祉法人の監事総数の三分の

一を超えて含まれる場合に限る。)

・ 国の機関、地方公共団体独立行政法人国立大学法人又は大学共同利用機関法人地方独立行政法人特殊法人又は認可法人

 

(3)監事の任期

・ 監事の任期は、選任後2 年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までである(法第45 条)。ただし、定款によって、その任期を短縮することも可能である。

・ また、監事を再任することは差し支えなく、期間的な制限はない。

 

(4)監事に欠員が生じた場合の措置

 監事に欠員が生じた場合の措置は、理事と同様である(P.11 第1節(4)参照)。

 

(5)監事の職務及び権限等

ア 監事の権限

・ 監事は、法人の業務監督及び会計監査を行うことを職務とし、その職務の遂行のため、いつでも、理事及び当該社会福祉法人の職員に対し、事業の報告を求め、また、社会福祉法人の業務及び財産の状況を調査することができる(法第45 条の18 第2 項)。

・ 監事は、理事が不正の行為をしたとき、若しくは不正の行為をするおそれがあると認めるとき、又は、法令・定款に違反する事実、著しく不当な事実があると認めるときは、理事に対し理事会の招集を請求できる(法第45 条の18 第3 項において準用する一般法人法第101 条2 項)。

・ その際、当該請求を行った日から5日以内に、その請求があった日から2 週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる(法第45 条の18 第3 項において準用する一般法人法第101 条3 項)。

 

イ 理事への報告義務

・ 監事は、①理事が不正の行為をしたとき、②理事が不正の行為をするおそれがあると認めるとき、③法令・定款に違反する事実があるとき、④著しく不当な事実があるときには、その旨を理事会に報告する義務を負う(法第45 条の18 第3項において準用する一般法人法第100 条)。これは、理事の法令定款違反等について、理事会による是正を促す趣旨である。

 

ウ 理事会への出席義務

・ 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない(法第45 条の18 第3 項において準用する一般法人法第101 条)。これは、監事が出席することにより、理事会の議論を把握し、理事の業務執行の監督につなげるとともに、理事会において法令・定款に違反する決議や著しく不当な決議等が行われるのを防ぐ趣旨である。

 

評議員会に対する報告義務

・ 監事は、理事が評議員会に提出しようとする議案、書類等を調査し、法令・定款に違反する事項や著しく不当な事項があると認めるときは、その結果を評議員会に報告しなければならない(法第45 条の18 第3 項において準用する一般法人法第102 条)。

 

 

第4章 理事会

(1)理事会の権限等

・ 改正法により、理事会は、全ての業務執行の決定や理事の職務執行の監督を行うこととなる。

・ 法律又は定款に定める評議員会の決議事項以外の事項については、評議員会に諮る必要はない。

 

ア 理事会の組織

・ 理事会は、全ての理事で組織される(法第45 条の13 第1 項)。

 

イ 理事会の職務

(ア) 業務執行の決定

・ 理事会は、社会福祉法人の業務執行に関する意思決定を行う(法第45 条の13 第2 項第1 号)。

 

(イ) 理事の職務執行の監督

・ 理事会は、理事の職務の執行を監督する(法第45 条の13 第2 項第2 号)。

 

(ウ) 理事長の選定および解職

・ 理事会は、理事長の選定及び解職を行う(法第45 条の13 第2 項第3 号及び同条第3 項)。

 

ウ 理事に委任することができない事項

社会福祉法人においては、重要な財産の処分及び譲り受け等、法第45 条の13第4 項各号に列挙されている事項についての決定を理事に委任することができないこととしている(同条第4 項)。これは、一部の理事による専横や複数の理事が法人の運営を巡って対立し、それぞれ独自に決定するといった混乱した事態が生ずるのを避けるためである。

 

(2)理事会の運営

ア 理事会の招集

(ア)理事会の招集権者

・ 理事会の招集権限は、原則として各理事にある(法第45 条の14 第1 項本文)。

 ただし、定款の定めまたは理事会の決議によって、特定の理事を招集権者と定めることができる(同項ただし書)。

・ この場合、招集権者以外の理事は、招集権者に対して、理事会の目的である事項を示して、理事会の招集を請求することができる(同条第2 項)。この請求のあった日から5 日以内に、当該請求があった日から2 週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合には、当該請求をした理事は、理事会を招集することができる(同条第3 項)。

 

(イ)招集通知

・ 理事会を招集する者は、理事会の日の原則として1 週間(定款による短縮が可能)前までに、理事及び監事の全員に通知を発しなければならない(法第45 条の14 第9 項で準用する一般法人法第94 条1 項)。

・ 通知の方法については、評議員会の招集の場合と異なり、限定はなく、書面でも口頭でもその他の方法でも差し支えない。また、議題を通知することも必須ではない。

・ なお、理事及び監事の全員の同意があれば、招集の手続を省略して、理事会を開催することができる(法第45 条の14 第9項で準用する一般法人法第94条2 項)。

 

イ 理事会の決議

・ 理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(定款による引上げが可能)が出席し、その過半数(定款による引上げが可能)をもって行う(法第45 条の14 第4 項)。理事会の決議の公正を期する必要があることから、決議について特別の利害関係を有する理事は議決に加わることができない(同条第5項)。

・ また、理事会における議決権の行使については、書面又は電磁的方法による議決権の行使や代理人、持ち回りによる議決権の行使は認められない。これは、理事には、評議員と同様、法人との委任契約に基づき、善良な管理者の注意をもってその職務を遂行する義務が課せられており(法第38 条、民法第644 条)、理事会は、このような理事が参集して相互に十分な討議を行うことによって意思決定を行う場であるからである。

・ ただし、出席者が一堂に会するのと同等の相互に十分な議論を行うことができる方法であれば、テレビ会議や電話会議の方法による開催は認められる。

 

ウ 理事会の決議の省略及び理事会への報告の省略(法第45 条の14 第9 項で準用

する一般法人法第96 条)。

・ 理事の提案につき、あらかじめ理事(議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなされる。

・ これは、議決権を行使することができる理事の全員が、決議の目的となる事項についての提案に同意の意思表示をし、かつ、監事も当該提案に異議を述べない場合には、会議を開催しなくても、各理事及び監事が当該議案を決議することについてその責任を伴う十分な意思表示を行っているものと認めることができ、また、提案に全員が賛成であるならば、討議を省略することによる理事会機能の形骸化という弊害のおそれも少ないと考えられるためである。

・ なお、理事会決議の省略を行うに当たり、あらかじめ定款の定めが必要とされるのは、理事会による意思決定における最も重要な要素である討議を省略するという理事会制度の重大な例外を認めるものだからである。

・ 理事、監事又は会計監査人が理事及び監事の全員に対して報告すべき事項を通知したときは、理事会決議の省略と同様に、当該事項の理事会への報告を省略することができる(法第45 条の14 第9 項で準用する一般法人法第98 条)。ただし、法第46 条の17 第9 項の規定による業務の執行状況に関する理事長及び業務執行理事の報告は省略することができない(法第45 条の14 第9 項で準用する一般法人法第98 条2 項)。

 

エ 理事会の議事録等

・ 理事会の議事については、議事録を作成しなければならない。

・ 議事録が書面で作成されているときは、出席した理事(定款で署名又は記名押印しなければならない者を出席した理事長と定めた場合には、当該出席した理事長)及び監事が署名又は記名押印しなければならない。(法第45 条の14 第6 項)。

・ 議事録が電磁的記録で作成されている場合には、厚生労働省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない(同条第7 項)。

・ 理事会の決議に参加した理事であって議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定される(同条第8 項)。

・ 議事録は、理事会の日から10 年間主たる事務所に備え置かなければならない。理事会の決議を省略した場合における提案につき理事全員が同意の意思を表示した書面または電磁的記録(以下、議事録と併せて「議事録等」という)も同様である(法第45 条の15 第1 項)。

評議員は、社会福祉法人の業務時間内はいつでも、債権者は理事又は監事の責任を追及するため必要があるときに限り、裁判所の許可を得て、次の請求をすることができる(同条第2 項、第3 項)。

 ① 議事録等が書面で作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 ② 議事録等が電磁的記録によって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したもの(当該事項を印字した紙等)の閲覧の請求又は謄写の請求裁判所は、評議員又は債権者が議事録等の閲覧又は謄写をすることにより、当該社会福祉法人に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、その許可をすることができない(同条第4 項)。

 

(3)内部管理体制の整備

ア 一定の事業規模を超える法人は、法人のガバナンスを確保するために、理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他社会福祉法人の業務の適正を確保するために必要な体制の整備(内部管理体制の整備)について、基本方針を理事会において決定し、当該方針に基づいて、規程の策定等を行うこととなる。(法第45 条の13 第4 項第5 号及び第5 項)

イ 内部管理体制の内容については、法に規定されている理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制のほか、厚生労働省令で以下の内容を規定する予定である。

 ① 理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制

 ② 損失の危険の管理に関する規程その他の体制

 ③ 理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制

 ④ 職員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制

 ⑤ 監事がその職務を補助すべき職員を置くことを求めた場合における当該職員に関する事項

 ⑥ ⑤の職員の理事からの独立性に関する事項

 ⑦ 監事の⑤の職員に対する指示の実効性の確保に関する事項

 ⑧ 理事及び職員が監事に報告をするための体制その他の監事への報告に関する体制

 ⑨ ⑧の報告をした者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制

 ⑩ 監事の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項

 ⑪ その他監事の監査が実効的に行われることを確保するための体制

ウ 法人における作業については、以下のとおりとなる。

 ① 内部管理体制の現状把握

 ・ 内部管理状況の確認、内部管理に係る規程等の整備状況の確認

 ② 内部管理体制の課題認識

・ 現状把握を通じて、業務の適正を確保するために必要な体制と現状の体制を比較し、取り組むべき内容を決定

 ③ 内部管理体制の基本方針の策定

・ 法人の内部管理体制の基本方針について、理事会で決定

 ④ 基本方針に基づく内部管理体制の整備

・ 基本方針に基づいて、内部管理に係る必要な規程の策定及び見直し等

 

(参考例)

内部管理体制の基本方針

 

 本○○福祉会は、平成○○年○月○日、理事会において、理事の職務執行が法令・定款に適合すること、及び業務の適正を確保するための体制の整備に関し、本○○福祉会の基本方針を以下のとおり決定した。

 

1 経営に関する管理体制

 ① 理事会は、定時に開催するほか、必要に応じて臨時に開催し、法令・定款、評議員会の決議に従い、業務執行上の重要事項を審議・決定するとともに、理事の職務執行を監督する。

 ② 「理事会運営規則」及び「評議員会運営規則」に基づき、理事会及び評議員会の役割、権限及び体制を明確にし、適切な理事会及び評議員会の運営を行う。

 ③ 業務を執行する理事等で組織する経営戦略等に関する会議体(以下「経営会議等」という。)を定期的又は臨時に開催し、業務執行上における重要事項について機動的、多面的に審議する。

 ④ 「理事職務権限規程」に基づき、業務を執行する理事の担当業務を明確化し、事業運営の適切かつ迅速な推進を図る。

 ⑤ 職務分掌・決裁権限を明確にし、理事、職員等の職務執行の適正性を確保するとともに、機動的な業務執行と有効性・効率性を高める。

 ⑥ 評議員会、理事会、経営会議等の重要会議の議事録その他理事の職務執行に係る情報については、定款及び規程に基づき、適切に作成、保存及び管理する。

 ⑦ 業務執行機関からの独立性を有する内部監査部門を設置し、業務の適正及び効率性を確保するため、業務を執行する各部の職務執行状況等を定期的に監査する。

 

リスク管理に関する体制

 ① リスク管理に関し、体制及び規程を整備し、役割権限等を明確にする。

 ② 「個人情報保護方針」及び「個人情報保護に関する諸規程」に基づき、個人情報の保護と適切な管理を行う。

 ③ 事業活動に関するリスクについては、法令や当協会内の規程等に基づき、職務執行部署が自律的に管理することを基本とする。

 ④ リスクの統括管理については、内部監査部門が一元的に行うとともに、重要リスクが漏れなく適切に管理されているかを適宜監査し、その結果について業

務を執行する理事及び経営会議等に報告する。

 ⑤ 当会の経営に重大な影響を及ぼすおそれのある重要リスクについては、経営会議等で審議し、必要に応じて対策等の必要な事項を決定する。

 ⑥ 大規模自然災害、新型インフルエンザその他の非常災害等の発生に備え、対応組織や情報連絡体制等について規程等を定めるとともに、継続的な教育と定

期的な訓練を実施する。

 

コンプライアンスに関する管理体制

 ① 理事及び職員が法令並びに定款及び当協会の規程を遵守し、確固たる倫理観をもって事業活動等を行う組織風土を高めるために、コンプライアンスに関する規程等を定める。

 ② 当会のすべての役職員のコンプライアンス意識の醸成と定着を推進するため、不正防止等に関わる役職員への教育及び啓発活動を継続して実施、周知徹底を図る。

 ③ 当会の内外から匿名相談できる通報窓口を常設して、不正の未然防止を図るとともに、速やかな調査と是正を行う体制を推進する。コンプライアンスに関する相談又は違反に係る通報をしたことを理由に、不利益な取扱いは行わない。

 ④ 内部監査部門は、職員等の職務執行状況について、コンプライアンスの観点から監査し、その結果を経営会議等に報告する。理事等は、当該監査結果を踏まえ、所要の改善を図る。

 

4 監査環境の整備(監事の監査業務の適正性を確保するための体制)

 ① 監事は、「監事監査規程」に基づき、公平不偏の立場で監事監査を行う。

 ② 監事は、理事会等の重要会議への出席並びに重要書類の閲覧、審査及び質問等を通して、理事等の職務執行についての適法性、妥当性に関する監査を行う。

 ③ 監事は、理事会が決定する内部統制システムの整備について、その決議及び決定内容の適正性について監査を行う。

 ④ 監事は、重要な書類及び情報について、その整備・保存・管理及び開示の状況など、情報保存管理体制及び情報開示体制の監査を行う。

 ⑤ 監事の職務を補助するものとして、独立性を有するスタッフを配置する。

 ⑥ 理事又は職員等は、当協会に著しい損害を与えるおそれのある事実又は法令、定款その他の規程等に反する行為等を発見した時は、直ちに理事長、業務執行理事並びに監事に報告する。

 ⑦ 理事及び職員等は、職務執行状況等について、監事が報告を求めた場合には、速やかにこれに応じる。

 ⑧ 理事長は、定期的に監事と会合を持つなどにより、事業の遂行と活動の健全な発展に向けて意見交換を図り、相互認識を深める。

 

 

 

第5章 会計監査人

 会計監査人(公認会計士又は監査法人)による監査とは、社会福祉法人が作成する計算書類等を対象として、外部の独立した第三者としての会計監査人が監査を行い、計算書類等の適正性について保証を与えるものである。

 これにより、財務情報の信頼性の向上、ガバナンスの強化だけではなく、業務の効率化、効率的な経営の実現にも資するものである。

 

(1)会計監査人の選任及び解任

ア 会計監査人の選任

・ 会計監査人は、評議員会の決議によって選任する(法第43 条第1 項)。

・ 理事が評議員会に提出する、会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容は、監事の過半数をもって決定する(法第43条第3 項において準用する一般法人法第73 条第1 項)。

 

イ 会計監査人の解任

・ 会計監査人が以下のいずれかに該当するときは、評議員会の決議によって、当該会計監査人を解任することができる(法第45 条の4 第2 項)。

 ① 職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。

 ② 会計監査人としてふさわしくない非行があったとき。

 ③ 心身の故障のため、職務の執行に支障があり、又はこれに堪えないとき。

・ 理事が評議員会へ提出する会計監査人の解任に関する議案の内容は、監事の過半数をもって決定する(法第43 条第3 項において準用する一般法人法第73 条第1 項)。

・ 監事は、上記①から③のいずれかに該当するときは、監事の全員の同意によって、当該会計監査人を解任することができる(法第45 条の5 第1 項)。

 この場合、監事の互選によって定めた監事は、その旨及び解任の理由を解任後最初に招集される評議員会に報告しなければならない(法第45 条の5 第3 項)。

 

(2)会計監査人の資格

・ 会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない(法第45 条の2 第1 項)。

公認会計士法の規定により、計算書類について監査することができない者は、会計監査人となることができない(同条第3 項)。

 具体的には、公認会計士法第24 条又は第34 条の11 の規定により、公認会計士又は監査法人が当該社会福祉法人の役員等となっている場合等については、会計監査人となることができない。

 

(3)会計監査人の任期

・ 会計監査人の任期は、選任後1 年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までである(法第45 条の3 第1 項)。

・ 定時評議員会において別段の決議がされなかったときは、再任されたものとみなされる(第45 条の3)。

 

(4)会計監査人に欠員が生じた場合の措置

・ 会計監査人に欠員が生じた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監事は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない(法第45 条の6 第3 項)。この場合、一時会計監査人の職務を行うべき者の資格は、(2)の会計監査人と同様である(法第45 条の6 第4 項)。

・ なお、法人の責めによらない理由(監査法人の倒産等)により、会計監査人による会計監査報告を所轄庁に届け出ることができない場合においては、所轄庁は届出の猶予等を行うことが必要である。

 

(5)会計監査人の職務及び権限等

・ 会計監査人は、社会福祉法人の計算書類及びその附属明細書並びに財産目録を監査し、会計監査報告を作成する義務を負う(法第45 条の19 第1 項及び第2 項)。

・ 会計監査人は、その職務を適切に行うため、会計帳簿又はこれに関する資料を閲覧謄写できるほか、理事及び当該社会福祉法人の職員に対し会計に関する報告を求めることができる(同条第3 項)。

・ また、その職務を行うため必要があるときは、当該社会福祉法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる(同条第4 項)。

・ 会計監査人は、職務を行うに当たっては、監査の公正を期すため、当該社会福祉法人の理事、監事又は当該社会福祉法人の職員である等の関係のある者を補助者として使用することができない(同条5 項)。

 

(6)会計監査人の設置義務について

ア 会計監査人設置義務対象法人の基準

・ 会計監査人の設置が義務付けられる法人は、前年度の決算における法人単位事業活動計算書(第2 号第1 様式)中の「サービス活動増減の部」の「サービス活動収益計」(以下「収益」という。)又は法人単位貸借対照表(第3 号第1 様式)中の「負債の部」の「負債の部合計」(以下「負債」)という。)を基準とする予定であり、当該基準については、今後政令で定める予定である。

・ なお、会計監査人を設置する法人は、会計監査人の設置に関する定款変更を行うことが必要となる。

 

イ 会計監査人の選任等の流れについて

・ 会計監査人の選任に当たっては、会計監査人を設置する年度(例:平成29 年度)の前年度(例:平成28 年度)から、下記のとおり、準備作業等が必要になるので、法人においては、当該前年度(例:平成28 年度)における収益・負債を適切に見込んだ上で、会計監査人の設置が円滑に行われるよう、対応することが求められる。

社会福祉法人の契約行為における透明性を踏まえると、選定委員会などによる選定が望ましいが、平成29 年度の会計監査人の選任については、施行までの準備期間を考慮し、理事会決議などによる取扱も可能とする。

・ その際、下記スケジュール例を参考にし、複数の会計監査人候補者から提案書等を入手し、法人において選定基準を作成し、提案内容について比較検討※のうえ、選定すること(選定基準のイメージは、別紙のとおり)。

※ 価格のみで選定することは適当ではないこと。

・ 複数の会計監査人候補者から提案書等を入手するにあたっては、日本公認会計士協会のホームページにおいて公表されている公会計協議会社会保障部会の部会員リストを参考資料として活用できること。

 

(スケジュール例)平成29 年度設置対象法人の場合

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ウ 監査証明範囲の設定について

・ 今般の会計監査人制度の導入は、法人としてのガバナンスの強化、財務規律の強化の一環として導入するものであり、会計監査人による監査証明の対象となる計算書類及び附属明細書の範囲については、法人単位の計算書類(第1様式)及びそれに対応する附属明細書の各項目とする。

・ その際、法人単位の計算書類とその附属明細書は拠点区分別の積み上げであることから、必要に応じて、拠点区分別の計算書類及びそれらの附属明細書についても監査手続の対象となる。

 

エ 監事が会計監査人に求める監査に関する報告について

・ 監事は、会計監査人に対して、必要があるときは、監査証明(会計監査報告)のほか、その監査に関する報告を求めることができることとなっている(法第45 条の19 第6 項で準用する一般法人法第108 条第2 項)。そのため、会計監査人は、監事に対して、監査証明(会計監査報告)のほかに、その監査に関する報告を行う責務がある。

 

(7)会計監査人非設置法人における会計に関する専門家の活用

会計監査人を設置しない法人においては、以下の例に掲げられたような支援項目から、法人の事業規模や財務会計に係る事務態勢等に即して、必要な支援を選択して、専門家を活用することが望ましい。

 

(支援の例)

財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援の例

・法人が作成する計算書類等の会計基準との整合性の点検及び改善支援

・経理体制の現状把握、効率化等改善に対する支援

・会計帳簿の記載、証憑書類の整理方法等に係る現状把握、効率化等改善に対する支援

・会計ソフトの設定、入力科目等の設定、入力マニュアルの提示等パソコン会計の導入支援 等

 

財務会計に関する内部統制の向上に対する支援の例

・法人全般の統制

例)ガバナンス体制(理事会、評議員会、監事等)、各種規程・業務手順の整備、職務分掌体制、予算実績分析体制等に対する支援 等

・各種事業の統制

例)購買、固定資産管理、資金管理、人件費、収益、在庫管理等の各業務におけるリスクに対応した適切な手続等に対する支援 等

・決算の統制

例)決算・財務報告に関する規程の整備、決算業務体制、伝票承認や決算整理業務の分掌体制、計算書類等の確定作業等に対する支援 等

 

 

 (別紙)

社会福祉法人○○会会計監査人選定基準のイメージ

(基準制定の目的)

第1条 この会計監査人選定基準は、社会福祉法人○○会(以下、「法人」という。)が複数の会計監査人候補者(以下、「候補者」という。)から提案書等を入手した際の候補者選定の基準を定めるもの。

 

(選定基準項目)

第2条 次の各号に掲げる事項に対する評価を行うものとする。

一 監査の実施体制等に対する評価

二 監査に要する費用に対する評価

三 監査の実績等に対する評価

四 監査の品質管理体制に対する評価

2 前項第1号に規定する評価については、次の各号に掲げる項目によるものとする。

一 当該法人に対する監査の基本方針及び考え方(着眼点や重点項目)

二 主要な監査手続及び監査要点

三 法人本部及び施設等を監査するチーム体制

四 監査スケジュール

五 監査の責任者及び担当者の経歴及び実務経験等

六 監査の指導的機能に対する考え方

七 監査のサポート体制

八 監事、内部監査担当部門との連携に関する考え方

3 第1項第2号に規定する評価については、次の各号に掲げる項目によるものとする。

一 監査報酬見積費用総額(見積り及び積算の方法を含む。)

二 監査日程(日数)の大幅な変更が生じたときの処理方法

4 第1項第3号に規定する評価については、次の各号に掲げる項目によるものとする。

一 監査実績

社会福祉法人に対する監査実績、非監査実績(会計指導、経営支援等)

公益社団・財団法人、一般社団・財団法人に対する監査実績、非監査実績(会計指導、経営支援等)

四 当該法人が実施している事業と類似の事業を実施している組織の監査実績、非監査実績(会計指導、経営支援等)

日本公認会計士協会又は公的機関における社会福祉法人制度に関係する部会等への関与実績

5 第1項第4号に規定する評価については、次の各号に掲げる項目によるものとする。

一 品質管理の体制(日本公認会計士協会の定める監査の品質管理に関する指針等に即した品質管理を行っているかなどを評価)

二 会計監査人候補者に関して公認会計士法に基づく処分がある場合はその内容とこれに対して取った措置(過去○年間)

 

 

 

第6章 評議員、理事、監事及び会計監査人の報酬

(1)評議員の報酬

評議員の報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)は定款で定めなければならない(法第45 条の8第4 項において準用する一般法人法第196 条)。無報酬の場合には、その旨定めることとなる。

 

(2)理事の報酬

・ 理事の報酬等の額は、定款にその額を定めていないときは、評議員会の決議によって定めることとなる(法第45 条の16 第4 項において準用する一般法人法第89条)。

 

(3)監事の報酬

・ 監事の報酬等の額は、定款にその額を定めていないときは、評議員会の決議によって定めることとなる(法第45 条の18 第3 項において準用する一般法人法第105条)。

・ 定款又は評議員会の決議によって監事の報酬総額のみが決定されているときは、その具体的な配分は、監事の協議(全員一致の決定)によって定めることとなる(同条2 項)。

・ また、監事は、その適正な報酬を確保するため、評議員会において、監事の報酬等について意見を述べることができる(同条3 項)。

・ 無報酬の場合には、その旨定めることとなる。

 

(4)会計監査人の報酬

・ 会計監査人又は一時会計監査人の職務を行うべき者の報酬等を定める場合には監事の過半数の同意を得なければならない(法第45 条の19 第6 項において準用する一般法人法第110 条)。

 

(5)理事、監事及び評議員に対する報酬等支給基準

・ 理事、監事及び評議員に対する報酬等について、厚生労働省令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該社会福祉法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めなければならないこととしている(法第45 条の35 第1項)。

なお、この報酬等の支給の基準は、評議員会の承認を受けるとともに(法第45条の35 第2 項)、公表しなければならない(法第59 条の2 第1 項第2 号)。

厚生労働省令では、具体的には、以下①から④までのとおり、理事等の勤務形態に応じた報酬等の区分及びその額の算定方法並びに支給の方法及び形態に関する事項を定める予定である。

・ なお、無報酬とする場合には、その旨役員等報酬基準に定めることとなる。

 

① 役員等の勤務形態に応じた報酬等の区分

・ 常勤・非常勤別に報酬を定めること。

 

② 報酬等の金額の算定方法

(a) 報酬等の算定の基礎となる額、役職、在職年数など、どのような過程を経てその額が算定されたか、法人として説明責任を果たすことができる基準を設定すること。

(b) 評議員会が役職に応じた一人当たりの上限額を定めた上で、各理事の具体的な報酬金額については理事会が、監事や評議員については評議員会が決定するといった規定は、許容される(国等他団体の俸給表等を準用している場合、準用する給与規程(該当部分の抜粋も可)を支給基準の別紙と位置づけ、支給基準と一体のものとして所轄庁に提出すること。)。

(c) 評議員会の決議によって定められた総額の範囲内において決定するという規定や、単に職員給与規程に定める職員の支給基準に準じて支給するというだけの規定は、どのような算定過程から具体的な報酬額が決定されるのかを第三者が理解することは困難であり、法人として説明責任を果たすことができないため、認められない。

(d) 退職慰労金については、退職時の月例報酬に在職年数に応じた支給率を乗じて算出した額を上限に各理事については理事会が、監事や評議員については評議員会が決定するという方法も許容される。

 

③ 支給の方法

・ 支給の方法とは、支給の時期(毎月か出席の都度か、各月または各年のいつ頃か)や支給の手段(銀行振込みか現金支給か)等をいう。

 

④ 支給の形態

・ 支給の形態とは、現金・現物の別等をいう。ただし、「現金」「通貨」といった明示的な記載がなくとも、報酬額につき金額の記載しかないなど金銭支給であることが客観的に明らかな場合は、「現金」等の記載は特段なくても差し支えない。

 

(6)理事、監事及び評議員の区分ごとの報酬等の総額の公表

・ 理事、監事及び評議員の区分ごとの報酬等の総額(職員としての給与も含む。)については、平成29 年度以降の現況報告書に記載の上、公表すること。

 

 

第7章 理事、監事、評議員又は会計監査人の損害賠償責任

(1)理事、監事、評議員又は会計監査人の社会福祉法人に対する損害賠償責任

ア 損害賠償責任

・ 理事、監事、評議員又は会計監査人は、社会福祉法人に対し、その任務を怠ったことにより生じた損害を賠償する責任を負う(法第45 条の20 第1 項)。

・ 理事、監事、評議員又は会計監査人と法人との関係は、委任に関する規定に従うため(法第38 条)、任務を怠ったとは、法人に対する善管注意義務違反(理事の場合は、忠実義務違反(第45 条の16 第1 項)も含まれる。)である。

・ なお、評議員には、業務執行権がなく、評議員会という会議体の構成員としての任務を行うものであることから、個々の評議員の任務懈怠により法人に直接損害が発生するケースは少ないと考えられる。

 

イ 損害賠償責任の免除

(ア) 総評議員※の同意による免除

・ 理事、監事、評議員又は会計監査人の社会福祉法人に対する責任は、原則として総評議員の同意がなければ免除することができない(法第45 条の30 第4項で準用する一般法人法112 条)。

※ 「総評議員」とは、定款上の評議員定数や評議員の出席者数ではなく、評議員の現在員数のことである。

 

(イ) 評議員会の特別決議による一部免除

・ 法人に対する損害賠償責任を負う理事、監事又は会計監査人が、その職務を行うにつき、善意でかつ重大な過失がない場合には、その賠償責任を負う額のうち、理事、監事又は会計監査人が社会福祉法人の業務執行の対価として受ける財産上の利益の1 年間当たりの額に相当する額に以下の数を乗じた額((ウ)において「最低責任限度額」という。)を超える部分については、評議員会の決議により免除することができる(法第45 条の20 第4 項で準用する一般法人法第113 条第1 項)。

① 理事長 6

② 業務執行理事 4

③ 理事、監事、会計監査人 2

・ これは、理事が軽微な過失により多額の損害賠償責任を負担することをおそれて業務執行が萎縮するのを防止するためである。

・ 理事、監事又は会計監査人の責任の免除に関する議案を評議員会に提出する場合には、監事の同意を得なければならない(法第45 条の30 第4 項において準用する一般法人法第113 条3 項)。

・ なお、評議員社会福祉法人に対する損害賠償責任については、評議員会の決議による責任の一部免除は認められていない。これは、評議員は業務執行を担わないことから実際に賠償責任を負うケースは非常に少ないと考えられ、総評議員による責任免除に加え、これよりも軽い要件による免除の制度を認める必要がないからである。

 

(ウ) 理事会の決議による一部免除

社会福祉法人においては、理事、監事又は会計監査人の責任について、職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がなく、その原因や職務執行状況などの事情を勘案して特に必要と認める場合には、その賠償責任を負う額のうち最低責任限度額を超える部分について理事会の決議によって免除することができる旨を定款で定めることができる(法第45 条の30 第4 項において準用する一般法人法第114 条第1 項)。

・ この旨を定款で定める議案を評議員会に提出する場合、又は定款の定めに基づく理事、監事又は会計監査人の責任の免除について理事会に議案を提出する場合には、いずれも監事の同意を要する(同条2 項)。

・ なお、評議員社会福祉法人に対する損害賠償責任については、(イ)同様、一部免除に関する定款の定めは認められていない。

 

(2)理事、監事、評議員又は会計監査人の第三者に対する損害賠償責任

・ 理事、監事、評議員又は会計監査人は、本来、社会福祉法人に対して任務を負うにすぎず、第三者に対しては一般の不法行為民法第709 条)責任以外の責任は負わないと考えられる。

・ しかし、理事、監事、評議員又は会計監査人の任務懈怠によって損害を受けた第三者を保護する観点から、職務を行うにつき悪意又は重大な過失があった場合には、第三者に対して責任を負うこととしている(法第45 条の21 第1 項)。

・ なお、評議員は、業務執行を行う立場ではないため、第三者に損害を与えることは多くないと考えられるが、評議員も法人と委任関係にあり、善良な管理者としての注意をもってその職務を行わなければならない者である以上(民法第644 条)、悪意又は重大な過失により第三者に損害を与えた場合の責任に関する規定を設けているところである。

 

 

第8章 計算

第1節 会計帳簿

(1)会計帳簿の作成及び保存

社会福祉法人は、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない(法第45条の24 第1 項)。会計帳簿は後日紛争を生じた場合の重要な資料となり得るため、その閉鎖の時から10 年間保存しなければならない(同条第2 項)。

 

(2)会計帳簿の閲覧等の請求

社会福祉法人評議員は、計算書類の承認等を行う評議員会の構成員として、社会福祉法人の経理の状況を会計帳簿等から正確に知る必要がある。このため、評議員は、社会福祉法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる(法第45 条の25)。

① 会計帳簿又はこれに関する資料が書面で作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求。

② 会計帳簿またはこれに関する資料が電磁的記録によって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法(紙等に印字したものを想定)により表示したものの閲覧又は謄写の請求。

 

第2節 計算書類等

(1)計算書類等の作成及び保存

・ 法第45 条の27 第2 項において、社会福祉法人が各事業年度において作成すべき書類として、①貸借対照表、②収支計算書、③事業報告、④①~③の附属明細書が規定されている。

・ また、計算書類等は後日紛争を生じた場合の重要な資料となり得るため、その作成後10 年間保存しなければならない。

 

(2)計算書類等の監査等

・ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書は、監事の監査を受けなければならない(法第45 条の28 第1 項)。

・ さらに、会計監査人を置く場合は、監事の監査に加え、計算書類及びこれらの附属明細書並びに財産目録について、会計監査人の監査を受けなければならない(同条第2 項)。

・ 監事及び会計監査人の監査を受けた計算書類、事業報告及びこれらの附属明細書は、理事会の承認を受けなければならない。

 

(3)計算書類等の定時評議員会への提出等

・ 理事は、監事の監査(会計監査人を置く場合は、会計監査人の監査も含む。)を受け、さらに理事会の承認を受けた計算書類及び事業報告を定時評議員会に提出しなければならない。

・ 定時評議員会に提出された計算書類は、定時評議員会の承認を受けなければならない(法第45 条の30 第2 項)。事業報告については、評議員会への報告で足りることとしている(同条第3 項)。

 

(4)会計監査人設置社会福祉法人の特則

・ 会計監査人を置く社会福祉法人においては、一定の要件を満たす場合には、(3)にかかわらず、計算書類について、定時評議員会の承認を受けることを要せず、定時評議員会においてその内容を報告することで足りることとしている(法第45 条の31)。

・ 一定の要件は、厚生労働省令で定めることとしているが、以下の要件をみたしていることを定める予定である。

ア 計算書類についての会計監査報告の内容に無限定適正意見が含まれていること

イ 会計監査報告に係る監査報告の内容として会計監査人の監査の方法又は結果

を相当でないと認める意見がないこと

ウ 特定監事※1が特定理事※2及び会計監査人に対して監査報告の内容を通知すべき日までに通知せず、当該通知すべき日に監事の監査を受けたものとみなされた計算書類でないこと。

※1 会計監査報告の内容の通知を受ける監事として定められた監事。当該通知を受ける監事を定めていない場合は、全ての監事。

※2 会計監査報告の内容の通知を受ける理事として定められた理事。当該通知を受ける理事を定めていない場合は、監査を受けるべき計算関係書類の作成に関する職務を行った理事。

 

(5)計算書類等の備え置き及び閲覧等

・ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに監査報告(会計監査報告を含む。)を定時評議員会の日の2 週間前の日から5 年間主たる事務所に備え置かなければならない(法第45 条の32 第1 項)。

・ 従たる事務所においても3年間備え置かなければならないが(同条2 項)、当該法人が計算書類を電磁的記録によって作成し、従たる事務所に備え置かなくとも閲覧に対応できる措置をとっている場合には備置きは不要である(同項ただし書)。