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リース取引に関する注記を忘れていませんか?

会計基準関係

 公開された計算書類を見るとリース取引に関する注記を記載していない法人が多いように思います。ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引に分けて考えると以下のような感じです。

 (1)ファイナンス・リース取引については、リース資産の減価償却方法は記載しているが、その内容(主な資産の種類等)を記載していない法人が非常に多い。

 (2)オペレーティング・リース取引については、未経過リース料を記載している法人はほとんどない。

 上記2つのうち(2)のオペレーティング・リース取引の注記については、リース料総額が300万円以下の場合など重要性が乏しい契約なので省略していケースが多いのだろうと想像できます。

 しかし、(1)のファイナンス・リース取引については、300万円超の重要性があるリース契約を貸借対照表に資産計上していると思いますので、貸借対照表にリース資産がある場合は、通常、その内容(主な資産の種類等)の注記が必要になるはずです。

 リース取引に関する注記については、会計士協会のチェックリストにも記載されているのですが、会計監査人の監査を受けている社会福祉法人でもあまり見かけません。

 今一度、運用上の取り扱いと運用上の留意事項にどのように規定されているか確認したいと思います。

社会福祉法人会計基準の運用上の取り扱い


8 リース取引に関する会計(会計基準省令第4条第1項関係)
 3 リース取引については、以下の項目を計算書類に注記するものとする。
(1)ファイナンス・リース取引の場合、リース資産について、その内容(主な資産の種類等)及び減価償却の方法を注記する。
(2)オペレーティング・リース取引のうち解約不能のものに係る未経過リース料は、貸借対照表日後 1 年以内のリース期間に係るものと、貸借対照表日後 1 年を超えるリース期間に係るものとに区分して注記する。

社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項


20 リース会計について
(1) リース会計処理について
 企業会計においてはリース取引の会計処理はリース会計基準に従って行われる。社会福祉法人においてもリース取引の会計処理はこれに準じて行うこととなる。
 土地、建物等の不動産のリース取引(契約上、賃貸借となっているものも含む。)についても、ファイナンス・リース取引に該当するか、オペレーティング・リース取引に該当するかを判定する。ただし、土地については、所有権の移転条項又は割安購入選択権の条項がある場合等を除き、オペレーティング・リース取引に該当するものと推定することとなる。
 なお、リース契約1件当たりのリース料総額(維持管理費用相当額又は通常の保守等の役務提供相当額のリース料総額に占める割合が重要な場合には、その合理的見積額を除くことができる。)が 300 万円以下のリース取引等少額のリース資産や、リース期間が1年以内のリース取引についてはオペレーティング・リース取引の会計処理に準じて資産計上又は運用上の取り扱い第8に記載されている注記を省略することができる等の簡便的な取扱いができるものとする。

  全社協さんの計算書類を見ると、ファイナンス・リース取引について、その内容(主な資産の種類等)の注記がありましたので紹介いたします。

法人詳細情報(社会福祉法人全国社会福祉協議会)

(社会福祉法人全国社会福祉協議会 平成29年度計算書類の注記より) 

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 横浜市社協さんの計算書類にはオペレーティング・リースの注記もありましたので、紹介いたします。

法人詳細情報(社会福祉法人横浜市社会福祉協議会)

(社会福祉法人横浜市社会福祉協議会 平成29年度計算書類の注記より)

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  特に、その内容(主な資産の種類等)については何ということはない簡単な注記なので、忘れないように注意しましょうね。