社会福祉法人の会計情報

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社会福祉法人制度改革の限界を感じる事例

不正関係

 広島ホームテレビのニュースによると広島県の社会福祉法人でこんなことが起こってるそうです。

 理事長が水道工事に絡んでキックバックによる不正を行っていた。
      
 他の理事5名が理事長を告訴し受理された。
      
 理事長が(評議員会を通じて?)告訴した理事5名を解任した。
      
 行政が監査に乗り出し、県警も捜査中。

 興味のある方は「元県会副議長が理事長だった社会福祉法人 広島県が監査」で検索して下さい

 本当に理事長が不正を行っており、元理事5名が正しいのなら、法人のガバナンスが正しく働いた事例のはずです。

 にもかかわらず、その理事5名が、評議員会を抑えている理事長サイドに解任されてしまったのであれば、何とも理不尽な話です。

 今回の社会福祉法人制度改革では、単なる諮問機関であった評議員会に理事の選任解任権限を持たせました。理事が構成する理事会が理事長の選任解任権を持つわけですから、人事権を有する評議員会が社会福祉法人の機関の中で最上位の機関と言えます。

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 しかし、評議員は選任解任委員会という手続きを踏みますが、理事長の息のかかった者を選任することも不可能ではありません。上のスライドでは評議員会が最上位で理事長が最下位でしたが、奇しくもこちらのスライドでは理事長が最上位になっています。赤字は私が書き加えたものです。

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 今回の事例のように、手続きさえ踏めば理事長の専横も事実上可能になってしまうという点で、社会福祉法人制度改革の限界のようなものも感じます。

 行政や警察にはっかりと監査・捜査していただいて、正しい方向に導いていただきたいと思います。