社会福祉法人の会計情報

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社会福祉法人の会計その他の情報です

監事監査のポイント(利用者預り金)

不正その他の情報

 毎日新聞にこんな記事が出ていました。

 着服:安来学園で 県の賠償額減額 控訴審判決 /島根 - 毎日新聞

 利用者の預り金を職員が着服した事件の民事訴訟の控訴審判決のニュースです。

 利用者預り金は、利用者毎に管理が必要ですが、金額も細かく、利用者の数が多い場合きちんと管理するのは結構大変ですね。適切な管理がなされておらず、利用者毎の残高や収支が合っていないケースや、チェックしていないケースも案外あり、指導監査直前にあわてて整理するよう法人もあるのではないかと想像します。

 そろそろ監事監査のシーズンですが、計算書類だけを見て、増減理由を質問したり関連帳票を見るだけで期末監査を終わらせている監事の方もいらっしゃると思います。特に公認会計士や税理士の先生が監事になっている場合、計算書類に目が行きがちなのでそようなケースが多いかもしれません。

 しかし、社会福祉法人の場合、利用者預り金は法人会計とは切り離されるので、貸借対照表や損益計算書を見ても出てきません。

社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について(厚生労働省)
1 管理組織の確立
(3)施設利用者から預かる金銭等は、法人に係る会計とは別途管理することとするが、この場合においても内部牽制に配意する等、個人ごとに適正な出納管理を行うこと。

 会計監査人がいたとしても、利用者預り金は法人会計とは関係がないので、ほとんど見ていないケースも多いと思われますので、監事監査が最後の砦です。  

 利用者預り金管理規程があると思いますが、実際に規程通りに現場で管理が行われているかどうか観察してみてください。

 利用者預り金の現物がどのように保管され、その出納はどのように行われ、記帳はどのタイミングでどのような帳票になされ、さらにチェックは誰がいつどのような形で行っているのか等を確認しておいた方が良いと思います。現物の実査や可能であれば銀行に残高確認を行うことも有効だと思います。

 監事の責任も重くなっていますので、記事のような不正が行われないよう、日頃から適切に監視する仕組みが出来ているかという視点で監査することが重要だと思います。日々適切に監視が出来ていない場合に不正を働こうとする動機が生じるので注意が必要です。