社会福祉法人の会計情報

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公認会計士・税理士の懲戒処分と社会福祉法人

その他の情報

 10月初旬に公認会計士の懲戒処分が1件公表されています。

  公認会計士の懲戒処分検索結果(金融庁)

 

 会計士はその都度公表されますが、税理士は下記のようなページで常時公表されています。このページに掲載されているのは税理士業務禁止や停止の場合ですね。

 税理士・税理士法人に対する懲戒処分等(国税庁)

 

 業務禁止や停止処分対象になった税理士の方の氏名を検索すると社会福祉法人の理事、監事の方もいらっしゃいますし、現況報告書の14(1)の専門家の活用状況に氏名が出てくる方もいらっしゃるようです。

 このように何らかの形で関与されている公認会計士や税理士の方が懲戒処分を受けた場合は、その社会福祉法人にとってどのような影響があるのでしょうか。

 

1.役員の場合

 役員の場合ですが、専門家として懲戒処分を受け業務禁止や停止になったとしても、役員の欠格事由になっていないので、法的には何の問題もありません。

 しかし、業務禁止や停止という重い処分を受け、処分期間中はこんなページに氏名が公表され続けるわけです。その方が理事や監事として職員に何を言っても相手にされないのではないでしょうか。私なら辞任すると思います。その結果、定款所定の員数に満たなくなってしまった場合は、新たな人選が必要になります。

 

2.顧問税理士の場合

 税理士が業務禁止や停止処分を受けている場合は、当然に税理士業務を委託する事はできません。すぐに新しい税理士を探す必要があります。

 

3.専門家としての支援業務を委託している場合

 専門家として財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援等の業務を委託している場合においても、業務禁止や停止処分を受けた場合は、契約解除すべきだと考えます。専門家に依頼しているにもかかわらず、その専門資格で業務禁止や停止の処分を受けているのですから。

 また、専門家支援の内容によって監査周期の延長や監査項目の省略などがありますが、所轄庁の心証に影響するのも避けたいところです。もちろん、そこまで確認するかどうかわかりません。

 

4.会計監査人の場合

 会計監査人になっている公認会計士や監査法人が懲戒処分を受けた場合はその内容によります。

 業務停止の場合は、その停止期間中は会計監査人の欠格事由(社会福祉法45条の2第3項)に該当します。この場合、監事は遅滞なく一時会計監査人を選任する必要があります(社会福祉法45条の6第3項)。

 契約の新規の締結に関する業務の停止等の一部業務停止の場合は、その社会福祉法人の監査業務が停止されている訳ではありませんので会計監査人を続けることができます。業務改善命令等の処分でも同様です。

 仮に業務停止ではない場合であっても、処分が公表された場合は、監事はその処分内容と改善方法について説明を受けるべきです。どのように対処するかはその説明内容にもよると思います。

 

 もし、皆様の社会福祉法人に関与されている専門家の方が懲戒処分を受けた場合は、何らかの対応が必要になるかも知れませんのでご留意ください。