社会福祉法人の会計情報

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「「会計監査及び専門家による支援等について」のQ&A」の送付について(令和2年9月11日 事務連絡 厚生労働省)

社会福祉法人制度改革

  「「会計監査及び専門家による支援等について」のQ&A」の送付について(厚生労働省)

 

 「会計監査及び専門家による支援等について」のQ&A

 

 問1
 専門家が、通知別添2の「財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援」(以下「財務会計事務処理体制向上支援」という。)を行った場合に、法人に対し、報告はいつまでに行うべきか。また、監事が監査報告として活用する場合の報告はいつまでに行うべきか。

 

 (答)
 本支援業務については、特段の報告期限は定められていない。また、監事が監査報告として活用できる報告期限についても、各法人において設定して頂くこととなる。


 問2
 法人が財務会計事務処理体制向上支援を受けた場合、報告書をいつまでに所轄庁あて提出すべきか。


 (答)
 社会福祉法第59条の規定による所轄庁への届出と併せて行うこと。
 なお、当該報告書の提出については、社会福祉法人の財務諸表等電子開示システムの「附属明細・監事監査報告・事業計画書・事業報告書等」内の「その他の必要な事項」にアップロードする方法によっても可能である。


 問3
 決算業務又は記帳代行業務を行う専門家が、財務会計事務処理向上支援を行い、報告書を提出した場合、所轄庁として監査周期の延長等を行うことは可能か。また、顧問契約等により会計又は税務の相談対応や指導業務を行う専門家の場合は可能か。
 (「社会福祉法人に対する指導監査に関するQ&A(vol.2)」の送付について(平成29年9月26日厚生労働省社会・援護局福祉基盤課事務連絡)問1の再掲)


 (答)
 決算業務又は記帳代行業務(以下「決算業務等」)を行う専門家は、法人の会計処理上の判断や意思決定、計算書類等の作成に直接関わる者(以下「直接関与者」)と考えられる。
 直接関与者が「会計監査及び専門家による支援について」(平成29年4月27日付け社援基発0427第1号厚生労働省社会・援護局福祉基盤課長通知)の1の(2)による「専門家による支援」を行うことは、自らが関与した会計処理や計算書類等について、自らが関与した業務を自ら点検(以下「自己点検」)することとなり、法人との関係において客観的な立場により行ったものとならないため、所轄庁の指導監査の代替が可能となる法人の事務処理体制の向上に関する支援を行ったこととはならず、延長等を行うことは適当でない。
 なお、顧問契約等により会計又は税務の相談対応や指導業務を行う専門家は、専門的な立場から見解を述べることが主要な業務内容であり、間接的な関与に留まることが想定されるため、原則として自己点検には当たらず延長等を行うことは差し支えない。
 ただし、直接関与者が法人業務の自己点検の一環として当該法人に対して支援を行うこと自体が否定されるものではない。

 問4
 財務会計事務処理体制向上支援報告書のチェック項目に記された内容の適否に応じて、所轄庁における指導監査の周期延長等の取扱いが変わるのか。

 (答)
 財務会計事務処理向上支援については、本支援を受けることにより、法人の事務処理体制の現状の課題を把握し、改善の契機とすることが重要である。このため、所轄庁は、チェック項目の内容の適否のみならず、法人の改善に向けた取組等を総合的に判断し、指導監査の周期延長等の取扱いを検討されたい。

 問5
 社会福祉法第59条の規定による所轄庁への届出と併せて財務会計事務処理体制支援報告書の提出がある場合に限り、「社会福祉法人が届け出る「事業の概要等」等の様式について」(平成29年3月29日雇児発0329第6号・社援発0329第48号・老発0329第30号厚生労働省雇用均等・児童家庭、社会・援護、老健局長連名通知)別紙1現況報告書において、14.(1)③の「イ財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援」を選択できるのか。

 (答)
 貴見のとおり。
 なお、直接関与者が法人業務の自己点検の一環として当該法人に対して支援を行う場合であっても、財務会計事務処理体制支援報告書の提出があれば、「イ財務会計に関する事務処理体制の向上に対する支援」を選択して差し支えない。

 問6
 財務会計事務処理体制向上支援報告書について、支援の対象となる会計年度を記載しなくてもよいのか。

 (答)
 財務会計事務処理体制向上支援は、原則として、これを行った会計年度において、法人の事務処理体制の向上を支援するものであることから、支援の対象となる会計年度については、報告書提出期日を以て判別可能であると思料される。

 問7
 直接関与者が財務会計事務処理向上支援を実施した場合、報告書の氏名に直接関与者である旨を附記する必要があるか。

 (答)
 貴見のとおり対応することが望ましい。

 問8
 通知別添2「財務会計に関する事務処理体制に係る支援項目リスト」(以下「リスト」という。)におけるチェック項目の記載について、適切に重要性の原則が適用されているのであれば、YESに○でよいか。

 (答)
 貴見のとおり。
 ただし、社会福祉法人会計基準第2条第4号に規定する重要性の原則に鑑みたチェックである旨が明確となるよう、欄外又は所見欄にその旨記載することが望ましい。

 問9
 リストにおけるチェック項目について、YESやNOの区分が困難である場合はどのように記載したらよいか。

 (答)
 いずれにもチェックをせず、所見欄に記載する等により、意見を明確にしていただく方法が考えられる。

 問10
 リストNo.1「予算」の1枠目中、「毎会計年度開始前」の記載は、今年度から初めて支援を行うような場合には、「対象会計年度の開始前」と理解して支援を行えば良いか。

 (答)
 財務会計事務処理向上支援は、毎年度継続的に行うことを前提としてこのような記載としているが、初回の支援においては貴見のとおり取り扱って差し支えない。

 問11
 リストNo.3「会計帳簿」の1枠目中、「適時に」とはいつまでなのか。

 (答)
 法人における経理規程に定める期日とすることを想定している。

 問12
 リストNo.6「収益、費用の基本的な会計処理」の1枠目中、発生主義としているが、具体的にいつ時点での計上を想定しているのか。

 (答)
 少なくとも決算期に適用されていることが必要である。

 問13
 リストNo.14「債権債務の状況」について、該当する取引がない場合、残高等の欄に「無」の記載がないがどのように記載するか。

 (答)
 YESとNOのいずれにもチェックをせず、欄外又は所見欄に該当がない旨を記載すること等により、その旨を明確にすることが望ましい。

 問14
 リストNo.17「基本金」、No.18「国庫補助金等特別積立金」、No.19「その他の積立金」について、当期の増減を検討すればよいのか。貸借対照表残高を検討するのか。

 (答)
 当期の増減の検討と貸借対照表残高の検討が想定されるが、当期の増減は事業活動計算書と附属明細書の整合性の観点から、貸借対照表残高の検討は貸借対照表と附属明細書の整合性の観点から、それぞれ検討することになると考えられる。

 問15
 リストNo.25「一般に公正妥当と認められる社会福祉法人会計の慣行」について、具体例は何か。

 (答)
 「一般に公正妥当と認められる社会福祉法人会計の慣行」としては、「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の取扱いについて」(平成28年3月31日付け厚生労働省雇用均等・児童家庭・社会・援護・老健局長連名通知)及び「社会福祉法人会計基準の制定に伴う会計処理等に関する運用上の留意事項について」(平成28年3月31日付け厚生労働省雇用均等・児童家庭総務・社会・援護局福祉基盤・社会・援護局障害保健福祉部障害福祉・老健局総務課長連名通知)等が挙げられる。

「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)の御意見募集(パブリックコメント)について」の結果について

会計基準

パブリックコメント:「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン(案)の御意見募集(パブリックコメント)について」の結果について

 

回答
番号
御意見の内容 御意見に対する考え方
1  法人の現状分析が詳細すぎ、かつ、整理されていないので、法人連携や合併等につながるロジックが見えづらい。  合併、事業譲渡等は、社会福祉法人の運営そのものに関する事柄であり、社会福祉法人の規模、経営状態、事業分野、合併の状況といったデータを広く示すことが適切だと考えています。特に合併の状況においては、合併、事業譲渡等の必要性に関するアンケート結果を提示しています。
2  本ガイドライン中の事業展開の定義はわかりづらく、不適当であることから、以下の様に整理すべき。
・事業展開:社会的ニーズに応え法人の事業の幅を広げること
・事業展開を行う手法(手段):法人連携、合併、事業譲渡等
 ガイドラインでは、事業展開の定義を「法人間連携、合併、事業の譲受け・譲渡し」としているが、これらは有識者による検討を経て一定の整理を行ったものであり、適切と考えています。
3  事業譲渡の項で、以下のように送り仮名を他の文言と統一したほうが読みやすい。
・譲受け及び譲渡→譲り受け及び譲り渡し
・譲受ける→譲り受ける
・譲渡し・譲渡す→譲り渡し・譲り渡す
 送り仮名については、平成22年内閣訓令第1号「公用文における漢字使用等について」に基づいています。
4  各地域や各法人それぞれの状況に合わせて、以下3点を法令上義務付けるべき。
①事業譲渡の前に、地域の意見を
諮る機会を設けること
③法人の評議員会で承認すること
③事業譲渡後もその事業が適切に
継続しているかを地域でチェックするために、事業譲渡に関し、譲る側、受け取った側、双方で情報公開すること
 御提案については、立法事実の有無やガイドラインの施行後における事業譲渡等の実施状況等を踏まえ、必要に応じ検討を行ってまいります。
5  理事長職を売買するなど、倫理的に問題がある行為が行われないよう、非営利性の原則に基づき、事業譲渡・合併等においては役員等が過大な利益を得ることを禁じるといった文言を加えていただきたい。  役員等に対しては、p.7「4.合併・事業譲渡等の手続と留意点」において、いわゆる善管注意義務があること、社会福祉法に規定されている役員等又は評議員の社会福祉法人に対する損害賠償責任を負うことを周知しています。
 また、p.10「(イ)相手方法人に関する留意点」として、特別の利益供与の禁止規定、利益相反取引の制限規定等に抵触することのないよう、お示しているところです。
6  社会福祉法人の持つ資産は、法人外流出に当たらないよう、適正な評価を行った上で価格を検討する必要がある。さらに<適切と考えられる実例>が示され金融機関の評価を例としているが、金融機関が資産を評価するときは担保価値として評価する。金融機関からの融資がある場合、適正な評価ができるのか。利益相反にならないのか。公正性、適正な評価という点で、会社法の規定なども参考に、専門家(税理士、公認会計士、不動産鑑定士等)を活用することが望ましいと考えるがどうか。
 また、P.10下から2行目に、「また、社会福祉法人の持つ資産は、法人外流出に当たらないよう、適正な評価を行った上で価格を検討する必要がある。」とあるが、適正な評価が必要な対象には、譲受資産・負債の公正な評価額と支払対価があるかと思われる。資産、負債個々の評価だけでなく、支払対価についても法人外流出とならないよう、事業計画、将来の損益予測や設備投資等を加味して合理的に価格を決定する必要があることを明示してはどうか。
 ガイドラインp.11の<適切と考えられる実例>は、あくまで金融機関を活用したケースの「例」であり、金融機関以外の専門家の活用を排除しているものではありません。
 なお、本ガイドラインは社会福祉法人の経営者層に向けに策定したもので、手続きや留意点は概略としており、それらの詳細については、p.8に記載している実務担当者向け手引き書(マニュアル)に記載しております。
7  事業譲渡に関して、現行法では会社法等に規定される事業譲渡に関する競業禁止に関する規定が存在しない点については、競業禁止の効果が発生しないという整理で立法しているのであれば、本ガイドラインでその旨を明らかにすべき。  社会福祉法人については、
①その設立に当たって行政の認可が必要であること
②社会福祉法人が行う社会福祉事業は、事業を実施しようとする場合、その多くで行政による許認可等が必要となること
③特別養護老人ホーム等の一部の入所施設については、その開設許可に当たって、介護保険事業計画等の行政計画による総量規制が課されていること
など、営利企業等とは異なり、その設立や事業実施に当たって行政の関与や規制があることをふまえると、会社法等で規定している競業禁止規定の必要性等については慎重に検討する必要があると考えており、本ガイドラインには盛りこんでおりません。
8  資産を譲渡する際の留意点において「社会福祉法人の持つ資産は、法人外流出に当たらないよう、適正な評価を行った上で価格を検討する必要がある」という記載や不適切な事例の記載においては、相手方の法人が社会福祉法人か持分権のある法人(株式会社など)かの区別なく書かれているが、これらの記載は社会福祉法人間における事業譲渡にも例外なく適用されるわけではないという趣旨でよいか。  ガイドラインp.10(ウ)については、譲渡しの相手方の法人種別を問わず、該当する資産に関して適切な評価を求めていますので、社会福祉法人に対する譲渡しの場合も適用されます。
9  従前は、補助金の交付や税の優遇措置が設けられている反面、社会福祉事業に係る財産は解散時にも国、地方公共団体、他の社会福祉法人が引き継ぐといった形で他の事業には出ていかない仕組みであることを踏まえ、事業譲渡に当たっては無償譲渡が前提になっていたが、有償譲渡を原則化することにより、社会福祉法人の枠組みを毀損することになるのではないか。
 また、これにより、地方レベルの行政指導として「有償譲渡が基本」となり、無償譲渡に関しては監督や規制が厳しくなるような事態も想定できるのではないか。
 現在の社会福祉事業は、それぞれの制度において、社会福祉法人以外の法人であっても事業を行うことが可能となっており、社会福祉法人から社会福祉法人以外の法人に事業を譲渡す場合もあり得ます。
 ガイドラインでは、事業種別や相手方の法人種別で有償、無償が決まるのではなく、譲渡する資産を適切に評価することが必要であることを明確にしたものです。適切な評価の結果、無償での譲渡というケースも当然考えられます。
 なお、社会福祉法人の事業譲渡等について従前から、価格を含む特定の譲渡方法を「原則」としたことはなく、本ガイドラインにおいても、同様の考え方です。また、譲渡価格が有償か無償かということと、行政監査等における所轄庁の対応については直接関係が無いと考えております。
10  合併登記において提出する「財産目録」については、作成、監査及び承認について何ら言及がない。
登記までの2週間では、法令で定める財産目録の作成、監査及び承認が困難であると思われるが、どのように対応すべきか。
 合併に係る登記申請に際して財産目録を提出する場合には、特段の事情がない限り、所轄庁への合併認可申請の際に提出し、認可された財産目録と同一のものになると考えます。