社会福祉法人の会計情報

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社会福祉充実計画の優先順位

制度改革情報

 この前の記事で記載したように、青森県の調査結果で社会福祉充実残額の使途を公益事業としている法人が1法人あったにもかかわらず、使途を地域公益事業とする法人が0でした。

 青森県ではありませんが、ある自治体のホームページに「社会福祉充実残額を充当する順位については、第一に社会福祉事業・第二に地域公益事業・第三にその他公益事業とされている」と記載されています。

 そこで、社会福祉充実計画で実施する事業の優先順位について確認しておきます。

 「社会福祉充実計画の承認等に係る事務処理基準」には以下のように記載されています。

4.社会福祉充実計画原案の策定

(2)社会福祉充実計画に位置付ける事業の種類(法第55条の2第4項及び規則第6条の16関係)

 社会福祉充実計画には、次に掲げる事業の全部又はいずれかを実施するための内容を記載すること。
① 社会福祉事業及び法第2条第4項第4号に規定する事業に該当する公益事業
② 地域公益事業
③ 公益事業のうち、①及び②に掲げる事業以外のもの
 なお、社会福祉充実計画に位置付ける事業は、①から③までに掲げる事業の順に、その実施について検討を行わなければならず、その検討結果については、社会福祉充実計画に記載することが必要であること。
 また、新たな事業を実施する場合については、定款変更の有無を検討し、所轄庁とも相談の上、必要な手続を行うこと。

 「社会福祉充実計画の承認等に関するQ&A(vol.2)」で追加された 問41には以下のように記載されています。

問41
 社会福祉充実計画において、法人における検討の結果、第1順位である社会福祉事業は実施せず、第2順位である地域公益事業又は第3順位である公益事業のみを実施することは可能か。

(答)
1.可能である。

 つまり、事務処理基準に書いてるのは、あくまでも事業検討の優先順位であって、事業実施の優先順位ではないということですね。Q&Aには社会福祉充実計画において社会福祉事業や地域公益事業ではなく、公益事業のみを実施することも可能だということが明確に書かれています。

 「社会福祉充実残額を充当する順位については、第一に社会福祉事業・第二に地域公益事業・第三にその他公益事業とされている」という表現は誤解を招く可能性があるので、気付かれた自治体のかたは訂正した方が良いかもしれません。

 

kaikeisyafuku.hatenadiary.jp

 

 

 

 

 

社会福祉充実残額がある法人の割合(青森県)

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 青森県で4月26日に「改正社会福祉法に基づく社会福祉充実計画の策定等に係る説明会」が開催されたそうです。その説明会資料が下記のページに掲載されています。

 社会福祉充実計画策定等に係る説明会を開催します - 青森県庁ホームページ

 注目したのは「社会福祉充実計画原案の概要(平成29年3月照会)」の取りまとめ結果です。

 社会福祉充実残額が出る法人は15%だそうです。 また、社会福祉充実残額の使途を地域公益事業と回答した法人は0だったそうです。

 青森県から所管する法人へのメール照会結果の割合を算出してみました。

(法人区分)        (法人数)   (割合)
青森県所管法人数      196法人 100.0%
回答した法人数       154法人  78.6%
社会福祉充実残額がある法人  30法人  15.3%
使途が社会福祉事業の法人   29法人  14.8%
使途が公益事業の法人      1法人   0.5%
使途が地域公益事業の法人    0法人   0.0%

 青森県では、「今回の結果から、ほとんどの県所管社会福祉法人は社会福祉事業への再投資を検討していること、現時点で、地域公益事業の実施はないことが確認された。」とし、「現時点で地域協議会に意見聴取が必要な社会福祉法人はない見込み。」と結論付けています。