社会福祉法人の会計情報

社会福祉法人の会計情報

社会福祉法人の会計その他の情報です

関連当事者との取引の内容に関する注記

開示関係

 あまり見かけないのですが、関連当事者との取引の内容を注記している事例があったので紹介します。(特定できない程度に加工してあります) 

f:id:kaikeichihou:20170623124303j:plain

1.種類
 「役員及び近親者」としていますが、これは会計基準第19条2項1号の個人の場合の記載だと思います。個人と法人では属性が異なりますので、「役員及びその近親者が議決権の過半数を有している法人」(会計基準19条2項2号)としたほうが良いと思います。

2.事業上の関係
 「当法人理事長の妻」とありますが、これだけでは事業上どのような関係なのかわからないのではないでしょうか。損害保険の代理店のようですので、それがわかるように記載したほうが良いと思います。

3.取引の内容
 「○○○保険」と保険会社の名前を記載していますが、「損害保険取引」など、ここは取引の内容を記載します。

4.科目
 「保険料」としていますが、期末残高に対する科目を記載しますので、通常は貸借対照表科目になります。(運用上の取扱い21(7))

5.取引条件および取引条件の決定方針
 事実を書くことになるのですが、このままだと随意契約で相手の言うまま契約して、無駄な資金が流出しているかのような疑念を抱かせます。そのような取引は認められませんので、そうではなく、一般的な取引価格であるということを示したほうが良いと思います。見積合わせを行っている場合なども記載した方が良いと思います。

6.その他
 関連当事者の事業の内容が「福祉用具販売貸与等」ですので、もし、損害保険取引だけではなく、福祉用具の購入や賃借等を行っている場合は取引の種類別の取引金額の記載が必要になります。(運用上の取扱い21(5))